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60-3.須恵器の杯は年代のものさし [60.古墳時代の終焉]

Z154.須恵器編年古墳後期.png須恵器は「年代のものさし」といわれ、遺跡より出土した須恵器の型式を判別することにより、遺跡の年代を比定している。須恵器編年でよく用いられるのが、田辺昭三氏がまとめられた陶邑窯編年で、須恵器を焼成する一つの窯の資料を1型式(TK○○、ON○○、MT○○)として、各々の窯の操業時期の相対的な年代を編年している。また、奈良文化財研究所の西弘海氏は、飛鳥・藤原京域から出土する須恵器の型式を飛鳥Ⅰから飛鳥Ⅴ期に編年(飛鳥編年)している。陶邑窯編年と飛鳥編年については、近つ博物館の『年代のものさしー陶邑の須恵器』にある「須恵器編年対照表」の一部を図Z154に示した。


古墳後期から古墳終末期(6世紀から7世紀)の須恵器の編年は、杯(杯身・杯蓋)の法量・形状に注目して行われている。法量とは容量のことで、杯身の口径と高さにより決まる。形状の中で特に注視されているのが、「カエリ」という杯身の口縁部にある立ちあがり(杯蓋の噛み合わせ部分)の形状(高さ・角度)である。「古墳時代須恵器編年の限界と展望」の論文を書かれた植田隆司氏は、それらをまとめ「杯身法量の変遷」図155と「杯身立ち上がり形状の変遷」図156に示している。なお、これらの測定値は図157に依っている。


Z155-157.須恵器編年杯.png

杯(杯身・杯蓋)の法量・形状でみると、古墳後期・古墳終末期の須恵器はTK23・TK47、MT15・TK10・MT85、TK43・TK209古、TK209新・TK217古、TK217新の5グループに分けることが出来る。私はTK209を、TK43に近いTK217古と、TK217古に近いTK209新に2分した。私は横穴式石室の形状(両袖式・片袖式・無袖式)の変遷を須恵器の型式別に層別したが、その中で、TK209・TK217と飛鳥I・飛鳥Ⅱ・飛鳥Ⅲの関係が表158のように現れる。飛鳥Ⅰも古・新と2分されるとするならば、TK209新=飛鳥Ⅰ古であり、TK217古=飛鳥Ⅰ新であり、TK217新=飛鳥Ⅱ、飛鳥ⅢはTK217新以降であると言える。


Z158.飛鳥編年.png


Z159.古墳時代後期編年.png近畿の横穴式石室資料集成」には、飛鳥Ⅰの型式の須恵器を出土する古墳が145基記載されているが、前方後円墳は皆無である。このことより、TK217古=飛鳥Ⅰ新から飛鳥時代が始まったと考えられる。古墳後期・古墳終末期を須恵器で編年すると、TK23・TK47は古墳中期後期の併行期、MT15・TK10・MT85は古墳後期の前半、TK43・TK209古は古墳後期の後半、TK209新・飛鳥Ⅰ古から古墳終末期となりは飛鳥時代の始まりである。表Z159にこれらの関係を示した。次節ではこれらに実年代(西暦○○年)を与えて見る。



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