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31-4.正倉院の紺瑠璃杯 [31.古代のガラス器]

正倉院には聖武天皇・光明皇后ゆかりの品をはじめとする、奈良時代を中心とした多数の宝物が納められている。この宝物の中に6点のガラス器がある。この6点のガラス器について、由水常雄氏の『ガラスの道』では「コバルト・ブルーのワイングラス紺瑠璃杯、透明で美しい曲線をもつ白瑠璃水瓶、亀甲状のカットを施した白瑠璃碗、エメラルドグリーンに輝く緑十二曲長杯、安定したシャープな器形の白瑠璃高杯、濃紺の厳しい意匠感覚を見せている紺瑠璃壺」と紹介している。 

G108 正倉院紺瑠璃杯.jpg昨年秋に奈良国立博物館で開催された正倉院展では、紺瑠璃杯が展示された。紺瑠璃杯はコバルト着色のソーダガラス製で、総高さ11.2㎝、ガラス部分の高さ8㎝、口径8.6㎝であり、胴部には同質のガラス紐による22個の環文装飾がある。なお、この杯の銀製台脚部は明治時代に造られたものであるそうだ。
この杯の特徴の円形装飾文様のガラス製品は、西アジアにおいて1世紀後半から作られ始め、3世紀に大流行となった。そして、ササン朝ペルシャ(226~651年)のササングラスでも隆盛は衰えず、イスラムガラスでも続いた。円文装飾にはカットによるもの、形押しによるもの、貼付けによるものがある。貼付け技法は高度な技術が必要であったらしい。 


G109 松林寺ガラス.jpg正倉院の紺瑠璃杯は貼付け技法によるもので、類型は韓国慶尚北道漆谷郡の松林寺の磚塔から発見された緑色のガラス舎利杯で、12個の環文装飾がある。両者は
同一の製作地で同時代に製作されたものであると考えられている。由水常雄氏は4世紀以降7世紀以前のササン朝ペルシャのガラスで、シルクロードを通じてやって来たものとしている。正倉院の紺瑠璃杯は、我々にシルクロードの夢を抱かせる逸品である。
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コメント 1

田中美羽

すごい
by 田中美羽 (2016-10-04 19:51) 

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